H25/9/13
記帳代行に潜む危険なワナ
■きちんと頼まれているつもりが依頼主が寝返った、本能寺の変だ
行政書士業務に記帳代行がある。 これがくせ者。内容によっては、税理士法違反になり税務署から税理士法違反の件 で照会されることもある。という面倒くさい分野だ。
会計書類の作成なんて行政書士ができるといわれているけれど、行政書士でなんくても近所のおばさんもやっている 。そんなはんちゅうだ。 それでもいいけど既得権はなかなか崩せない。 問題は、あるお店と記帳代行の口頭契約をしたときだ。「こういう風にしようね」 「それはいい考えだ、そうしましょう」という節税対策。
そんなさ中、税務署の調査が入った。 二人とも大慌て、自分のことしか考えない。「そんなことは確かでない。勝手にやったことだ。わしゃ知らん」「言ったじゃないですか、そうした方が税金が安くなるならそうしてくれと。」 結局、言った、言わないの水かけ論。税務署員も口をあんぐり。 ちゃんとした契約書をとってないから、こうなるのだ。
その結果、責任は重い。「善意のものが悪意に変わる」 それってこわいかも!!
結局、きちんとした契約書をとっていないことが反目となるかも、でも現実として 契約を交わしてスタートということはあまりない。 「業務請負契約」「事務代行契約」等名前は違ってもこういうものを契約した方がいい。
税理士や行政書士の場合、きちんとした契約書のひな形があるから参考にできるが、 税理士や行政書士でさえかわしてないのが事実だ。 記帳代行とは会計帳簿の記帳を代行する業務である。簡単にいうと「現金出納帳等帳簿の作成」「伝票」「試算表」の作成である。 ここで問題なのは現金出納帳の作成を代行として請負えるかである。
日々現金有高という のは現金商売をしている飲食店は特に日々変化している。現金管理をきちんとやっていくというシステムを作っておかないと不正の温床になりかねない。 そんな現金有高を記帳していくのが責任者でなくて帳簿の作成者でできるのか…ということである。
少なくとも、現金出納帳の作成は納税者(会社側)の方でやらないといけない。そうする と作成できるのは振替伝票・試算表ということになる。補助簿は会社側でお願いするということになる。このスミ分けを記帳代行をする人たちは理解しているのだろうか? 会社側でやるからといってもやっていることをみていると、現金と通帳の動きを一緒 に記入しているものもある。現金出納帳の正しい意味合いを理解していない。
それと、よくあるケースは現金出納帳の残高がマイナスになってそのまま書かれていることだ。
マイナスの時点で必ず漏れがある。マイナスの現金なんてありえない。入金漏れか出金の間違いなど考えればたどりつく。
そして現金残高が例えば100万以上ある。一部小切手とか、休みで2〜3日分の売り上げとか理由がはっきりわかることもあるけど、たいがい、日々にそんなに多くの現金残高があるわけない。
それも帳簿を記入していく上での間違いだ。
「現金」というのはおばけのようなものだ。だから税務署も現金管理は誰がするかに神経を配っている。
記帳代行の仕事というのは、一見簡単そうに見えるけど労力の責任と所在と考えると割に合わない。気軽に引き受けるものではない。
請求書・領収書の作成など、内容の確認をしてからでないと請け負うものではない。
夜の飲食店の記帳代行を手掛けたことがあったが、売上伝票による請求書の作成は気を使う。
夜の飲食店の場合、現金出納帳でなく日計表というものを作っていることもある。一枚一枚の日計表(日計票)だ。日々の確高欄がある。
これとても、きちんとしたものを作ることは大変であり、とにもかくにも記帳代行は大変な仕事である。
消費税が26年4月より5%から8%に引き上げることが政府内で決定された。消費税の納付は現金出納帳の記帳の精度にも影響するから余計に厳しくなる。